先日、「読者の段階からいよいよ執筆の段階に入る」と書いたばかりですが、『男の凶暴性はどこからきたか』において戦争の根本的な原因だとされた「自尊心」についてもう少し理解を深めたいと思い、新谷優著『自尊心からの解放』という本を読み始めました。しばらくは、読書と執筆の比率が5:5くらいになるかもしれません。
『男の凶暴性はどこからきたか』では「自尊心」と訳されているけれど、原書『Demonic Males: Apes and the Origins of Human Violence』で使われている元々の英単語は何だろうということがずっと気になっていたので、原書を取り寄せてみました。「self-esteem」か「self-respect」だろうと思っていたのですが、原書が使っていたのは「pride」でした。
読み始めたばかりの『自尊心からの解放』では、第1章の初めの方の「4 自尊心ではないもの」の箇所で、「自尊心」と「プライド」は別のものだと明言しています。「プライド」は、「誇り」「面子」「自信」といったニュアンスが含まれる感情であり、「偽物とプライド」と「本物のプライド」があるとのことです。偽物のプライドは自己愛と高い相関があり、優越感や虚栄心が含まれ、他者からの評価に過度に反応し、簡単に傷ついたり反発したりし、むしろ自尊心の低い人の特徴に似ています。一方、本物のプライドを感じる人は自信があって、自尊心と高い相関があるとのことです。『男の凶暴性はどこからきたか』で、大脳新皮質の発達によってヒトとチンパンジーの心に芽生えた「pride」は、この本が説明している「偽物のプライド」に近い概念のような気がします。
『自尊心からの解放』では、自尊心の高低ではなく、自尊心の脆さこそが問題であり、自尊心が脅威を受けやすいかどうかは、失敗をした領域に自尊心を随伴させているかによって決まると説明しています。これは私がまとめているテーマにとっても、とても重要なポイントだと思います。ということで、本書を読み進めていきたいと思います。
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