『男の凶暴性はどこからきたか』について(その2)で、「人間の社会がどこでどう道を誤ったのかをよく考えることが重要だと思います」と書いたので、それをもう少し具体的にまとめてみようと思います。【改訂版】「戦争」に至る進化の道では、戦争の起源に関連する事柄をわざと網羅的にまとめましたが、重要な点だけに的を絞ると、太字部分にその答えが見えてきます。
- 大脳新皮質の発達によって芽生えた自尊心(承認欲求)によって、元々遺伝的に持っていた男性の攻撃的な性向が加速され、「高い地位につきたい」「集団を支配したい」という欲望に駆り立てられるようになった
- およそ一万年前に始まった農耕や牧畜はそれ以前の狩猟採集生活に比べて重労働なので、体格と体力に優る男性が生産に必要な資源を独占所有するようになって、男性優位の傾向がいっそう強まり、父権制(家父長制)が社会に広まっていった
- 高い地位についた男性ほど多くの配偶者を得て次世代に多くの遺伝子を残せるようになり、その特権を自分の子供や血縁者に引き継ごうとするので、高い地位が代々世襲されるようになった
- 最も高い地位についた為政者は、自身の権力をさらに拡大するために、あるいは外に敵を作って自国の結束を強めるために、他国を積極的に侵略するようになった
- 防御の要塞としての都市が巨大化し、戦争も激化すると、それに伴う大きなストレスに対処し、人々の心を一つにするために「高みから道徳を説く一神教の神」が生み出され、その排他的な教義ゆえに深刻な分断と争いの原因となっている
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