この記事の続編です。
ピューリタン革命は1640年に、アメリカ独立戦争は1775年に、フランス革命は1789年に起きましたが、ダーウィンが『種の起源』を発表したのはその後の1859年です。
ジェームズ・ワトソンやフランシス・クリックらが遺伝子の実体がDNAの二重らせんであることを発見したのはさらに百年後の1953年で、進化心理学によってヒトの心の動きの背後に潜む進化の影響が明らかになってきたのは、ほんのここ数十年のことです。
当然のことながら、革命の担い手となった市民たちは、この記事で列挙した「進化によって獲得され、当初は適応的だった形質の誤作動」のことなど知るよしもありませんでした。「誤作動」によって引き起こされたものは、王による支配とそれに対する民衆の服従、一神教の成立、繰り返される戦争、際限のない蓄財行動、対立と分断、女性差別、イジメなどです。
革命の担い手となった市民たちは絶対王政を打倒しましたが、「誤作動」によって形成されてきた社会の仕組みはそのままにして、ただ、ピラミッド型組織の頂点に立つ為政者たちを挿げ替えただけだったのです。
もちろん、一見民主的に見える「選挙」によって為政者たちが選ばれ、一見民主的に見える「多数決」によって社会的決定が行われるようになったのですが、社会の仕組みは何も変わりませんでした。したがって、新しい為政者たちが行ったことは、絶対王政の時代とほとんど同じような権力の行使と、その権力を握るための闘争でした。このようにして、21世紀の現在に至っても「誤作動」は続いているのです。

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