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Consideration

「自由で機能する社会」とは何か?(その2)ー正統性を持った権力など存在しない

ニシ浜

この記事でみたように、ドラッカーは「社会は、一人ひとりの人間に『位置づけ』と『役割』を与え、そこにある権力が『正統性』を持つとき、はじめて機能する」を言っています。私は、前半部分はその通りだと思いますが、後半部分には納得がいきません。

 また、この記事で見たように、ルソーは、「社会が存続し続けるためには、障害の力に勝つことができる力の総和を、集合することによってつくり、ただ一つの動力によってそれを動かし、そして、一致してその力を動かす以外に方法はない。」と言っていますが、これにも納得がいきません。

 そもそも「権力」とは、ヒトから自由を奪い取って自分だけ利益を得ようと目論む暴力(「権力」=「益」を奪い取る「暴」)であり、その定義からして正統なものではありえません。

また、この記事で直接互恵性にとって脅威となるフリーライダーの存在について触れましたが、権力者こそ最強最大のフリーライダーです。

ヒトの歴史のなかで、権力者(=王)が登場したのはおよそ1万年前のことですが、それでは、なぜヒトはたった一人の為政者に権力を集中させることが社会を維持する唯一の方法だと思うになったのでしょうか?どうして他の方法を思いつかないのでしょうか?

その答えを箇条書きで列挙します。

  • 環境の変化がゆっくりだった太古の昔には、経験豊富な長老や有力者の言うことに素直に従った方が生き残る確率が高かったので、そのような行動が進化し定着した
  • 脳はたくさんのエネルギーを消費する燃費の悪い器官なので、大脳新皮質のような高度な認知資源を使う【タイプ2】の思考過程はできる限り使わず、進化的に組み込まれたモジュールや、その他後天的に身につけたヒューリスティック(限定的な情報から物事を判断するなど、精度は保証されないが短時間で答えを出せる近道)を使う【タイプ1】の過程を使って短絡的に即断しようとする傾向がある
  • ダンバー数の150名をはるかに超えた巨大な国家のなかでヒトが相互に緊密なコミュニケーションを取ることはもはや不可能で、ピラミッド型の組織にはめ込まれてしか生きることができなくなった
  • 権力者たちは、外敵を作ることによって本当は権力者自身のための戦いであるのに、あたかも人民のための戦いであるかのように信じ込ませることに成功した
  • 多神教が一神教に変化した背景には権力者たちが一神教によって自らの権力を強化しようとする目論みがあり、それがまんまと成功した

以上のような理由から、1万年以上に渡って、「権力」なる魔物が温存されてきたのです。 一方、この提言が目指している「自由で機能する社会」の理想形は、フラットで、そこで生活する各主体を隔てる壁がなく、各主体が自由意志に基づいて活動できるような構造を持ち、そして何よりも重要なのは、そこに「権力」が存在しないことです。

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