イリヤ・プリゴジンの『確実性の終焉』を読み始める

去年の8月からいろいろな分野の本を読み進めてきましたが、多くの疑問に答えを出してくれそうな予感がする一冊、『確実性の終焉』を読み始めました。この本は、ワグネルのエフゲニー・プリゴジンではなく、散逸構造の理論で1977年にノーベル化学賞を受賞したイリヤ・プリゴジンの晩年の著作で、著者序によれば「一般的な読者たちにも近づきやすく、本書だけで独立に理解可能」とのことです。私は、その言葉を信じて1998年頃にこの本を買いましたが、すぐに挫折してずっと「積読」になっていました。長い年月を経て、再度この本にチャレンジしているのは、なかなか感慨深いです。

この本に期待しているのは、次のような理由からです。

  • 時間の非対称性や非可逆性を自然の基本法則に組み込むことにより、決定論と自由意志のジレンマや物質と精神の二元論の呪縛から、われわれを解放してくれること
  • 散逸構造の理論は自然のふるまいを熱力学的な視点から説明するものですが、人の社会にも応用可能だと考えられること
  • 解放系、非線形性、自己組織化といったキーワードは、自由で機能する社会のあり方にマッチすること

パラパラと眺めると、第Ⅴ章と第Ⅵ章辺りには数式がたくさん出てくるのでかなり不安ではありますが、なんとか最後まで読み切って、内容をしっかり理解したいと思います。

この本の表紙の絵にある「時間の矢」は、非常に重要な意味を持っています。古典的なニュートン力学は、時間的に対称で可逆だからです。

『確実性の終焉』
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