【再掲】SNSに対するマスコミの報道について

SNS上での誹謗中傷の拡大が問題となっていますが、これに対するマスコミの論調は「SNSの負の側面」とか「SNSの闇」といった具合に、SNSをネガティブに捉えるものが多いと思います。でも、私は「それは批判の矛先が違うんじゃないか」と違和感を感じています。誹謗・中傷・いじめなどが多発している本当の原因は、たとえば、多様性を尊重する意識が十分に浸透していないからだとか、勝ち組・負け組といったall or nothing的な思考が支配的だからとか、金儲け第一主義が横行しているからだとか、教育の内容が画一的で受験予備校的だからとか、そういった社会全体の在り方にあると思います。そんなことを感じながら、以下に2017年に書いた記事を再掲します。


9人が犠牲になった痛ましい殺人事件においてSNS(Twitter)が被害者を誘い出す手段として使われたことから、多くのマスコミがSNSを問題視するニュアンスの報道をしています。これはSNSの本質を見失った見当違いも甚だしい報道だと私は感じています。

SNSで盛んに交わされている情報は、金子郁容が『ボランティア もうひとつの情報社会』の中で述べている「動的情報」です。「動的情報」は、「進んで人に提示し、それに対して意見を言ってもらい(つまり相手から情報をもらい)、相手から提示されたその情報に対して、今度はこちらから自分の考えを提示する……という相互作用の循環プロセスによって生み出される情報」です(詳しくは→こちら)。「動的情報」は、従来は人が直接会って会話したり、あるいは文通したりして交わされてきましたが、インターネットの普及、とりわけSNSの普及によって、とても容易に、高い頻度、高い密度で交わされるようになりました。これは歴史的には、グーテンベルクによる活版印刷技術の発明に匹敵する革命的な出来事だと思います。

SNS上では、有益な情報も悪意や犯罪性のある情報も同じように交わされています。でも、それは従来のコミュニケーション手段でも同じことです。ただ、情報交換の頻度と密度が高いので、それぞれの情報が世の中に与える影響が大きくなったことは確かです。現在のSNSに対するマスコミの批判的な報道をグーテンベルクの時代に置き換えると、「活版印刷は自殺を助長するような情報を大量に世の中に広めるから実にけしからん!」というような感じになるのではないでしょうか。マスコミがSNSをはじめとするICTに対して総じて批判的な立場を取るのは、メディアの主役の地位を奪われそうだという危機感があるからかもしれません。

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