お金の本質を問い直そう(その3)

その2)より続く。

世の中のほとんど物は、時間の経過とともに劣化して価値が減り、やがて使えなくなって価値がゼロになります。廃棄費用がかかって、実質的に価値がマイナスになる場合もあります。しかし、お金は世の中がよほど混乱しない限りは価値が一定です。だから、財産を蓄えるためには、他の財貨よりもお金で保有したほうが安全で有利です。

その後、お金が余っている人から不足している人へとお金を融通する金融という仕組みが起こり、借りたお金を使用することの対価としての利子(利息)が生まれました。こうなると、お金の価値は減価しないどころか、利子(利息)の分だけ増えていくことになります。

金融には、銀行のような金融機関が間に入る「間接金融」と、直接的にお金を融通する「直接金融」があります。最も広く行われている「直接金融」は株式の購入です。ある会社の株式を購入することは、すなわちその会社に出資することです。会社はそのお金を使って事業を行い、得られた利益の一部を「配当」として出資者に分配します。上記の利子(利息)はお金のやり取りに先だって何%と決められますが、配当はその事業で利益が出なければ分配されません。このように結果が不確実でリスクのある対象にお金を投下することを「投資」と言います。

その一方で、投資をしたことの証としての株券や債券は市場で売買され、その価格(相場)が刻々と変動します。投資条件のいい株券や債券は、買いたいと思う人が多いので高い値がつきます。相場がこのように変動するなかで、買った値段よりも高い値段で売れば差益(利ざや)が得られます。この差益のことを「キャピタル・ゲイン」と呼びます。

短期的な価格変動の目論見から利ざやを稼ごうとする行為が「投機」です。「投資」と「投機」は区別しにくい……、というよりも「投資」のなかで短期的なキャピタル・ゲインを主に狙ったものが「投機」だと言ったほうがいいでしょう。そしてそのなかでも特に大規模でギャンブル性が高いものは「マネーゲーム」と呼ばれます。

(その4)では、(その1)から(その3)に書いてきた内容を踏まえながら、私の個人的な意見を述べたいと思います。

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