お金の本質を問い直そう(その2)

その1)より続く。

狩猟採取生活をしていた先史時代には、生きるために必要な食物を得るのがやっとでした。ところが、技術の進歩や道具の発達に伴って、生きるために必要な量以上の収穫が得られるようになりました。さらに農耕が行われるようになると食物の生産量は飛躍的に拡大し、大量の余剰が生まれるようになりました。また、食物以外の品物(衣服や道具など)をもっぱら作る人も現れました。それらは物々交換されるようになります。

物々交換においては、自分の欲しい物を持っている人がかならずも自分が提供したいと思っている物を欲しているとは限りません。これではなかなか交換が成立しないので、やがて価値が安定している特定の財貨が交換の媒介物として機能するようになりました。これがお金の起源です。したがって、お金のもっとも基本的な機能は、交換手段としての機能と、価値の尺度としての機能です。

この頃になると、複数の人間による恊働が大規模に行われるようになり、特定の作業に長けた人がその仕事を専門的に行うようになって分業体制が高度化します。すると、重要な役割を担う人がより多くの分配を受けるようになり、分け前に差ができるようになります。それ自体に問題はないのですが、多くの分け前を受け取ることができる役割が世襲化され、特定の一族によって独占されるといったことも起こり始めました。

他の人よりも多くの分け前を得る人(一族)や、あるいはこのページに書かれたような不当な方法で他人の成果を分捕る人(一族)のもとには、たくさんのお金が蓄えられるようになります。すると今度は、蓄えをもっともっと増やしたいという欲望が生まれます。

(その3)に続く。

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