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阿部幸大著『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』を読みました

Consideration のカテゴリで小出しに紹介しているように、「自由で機能する社会」へ近づくための提言を少しずつ書き進めています。20年くらい前に経営情報誌に載せる記事はたくさん書きましたが、アカデミックな論文はほとんど書いたことがないので、アカデミック・ライティングのコツをつかむために『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』を読んでみました。

本書が言っている最も重要なことは、「論文はアーギュメントを持たなければならず、アーギュメント(テーゼ)とは、論証が必要な主張である」ということです。もう少し平たい言葉に言い換えると、「論文とは、ある主張を提示し、その主張が正しいことを論証する文章である」ということで、この条件を満たさないと単なる読書感想文になってしまいます。本書は、論文の条件を満たすためのライティングテクニックを具体的に教えてくれています。

なかでも私の参考になったのは、引用する先行論文からその論文の核心部分(アーギュメント)を抽出する方法と、それを自分の言葉で言い換える(パラフレーズする)方法でした。それから「先行論文のアーギュメントさえしっかり把握すれば、必ずしも通読する必要はない」という箇所にはちょっと救われた気持ちになりました。余談ですが、小学生の時に長編小説のほんの一部だけを読んで書いた読書感想文が賞をもらったことにずっと罪悪感があったのですが、そのことも許されたような気がしました。

私は、まったく自己流に提言を書き始めましたが、今の段階で自己評価してみると、この本が提示しているアカデミックな論文の要件をわりと満たしているように感じられて、ちょっと自信を持ちました。今後細かな修正はあっても、大筋はこの路線で書いていこうと思えるようなアウトラインを早い段階で作れたのがよかったと思います。これはアウトラインエディタのおかげです。もちろん明確な主張はしっかりとあります。あとは、その主張に至る論理的な道筋をわかりやすく展開していくことが重要だと思います。

『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』

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