【再掲】リーダーの暴走を許す仕組み

プーチン大統領の暴走に歯止めがかかりません。リーダーはなぜ暴走するのか?以前にアップした記事を再掲します。


人間が協働する仕組みには、大別して「伽藍方式」と「バザール方式」の2種類があります(→こちら)。

会社・各種団体・行政機関など、現在活動している組織のほとんどは、基本的に「伽藍方式」の組織です。「伽藍方式」は、「バザール方式」に対するものとして、米国のプログラマーEric Raymondが書いた「The Cathedral and the Bazaar(伽藍とバザール)」という論文のなかで使われている言葉ですが、上位者から下位者へのピラミッド型の指揮命令系統によって組織を運営する方式です。

この方式は、もともとは、戦争の指揮官が自分の軍隊を思うように動かすために生み出されたものです。したがって次のような特徴を持っています。

  1. 戦っている相手に勝つことが最終目的である。
  2. 勝つために、相手を出し抜く戦略を駆使する。
  3. 組織の構成員は、「人」ではなく、戦うための「駒」として扱われる。

そして、最も重要なポイントは、「伽藍方式」はリーダーの暴走を許す仕組みであるということです。

ウクライナに侵攻したロシアはその端的な例ですが、実は世界中のほとんどの国が同じ課題を抱えているという点を見逃してはいけません。多くの国が、たまたま現在の大統領や首相や王がそんなことをする人ではないという幸運に恵まれているだけなのです。現に、今にも暴走しようとしているリーダーや、すでに暴走しているリーダーがいます。このようにトップに座る人の考え方如何によっては暴走してしまうかもしれない性質は、「国」という存在の本質に根ざした問題です。したがって、暴走を防ぐためには、「国に代わるもの」を新たに作る必要があります。「国に代わるもの」は次のような特徴を持っています。

  • 「国に代わるもの」の運営は、「伽藍方式」によってではなく、「バザール方式」によって行われる(「伽藍とバザール」については→こちら)。
  • 「国に代わるもの」では、代議員が運営方針を決めるのではなく、構成員一人ひとりが直接意見を述べることができる(直接民主主義)。
  • 多数決によってたった一つの方針を決めるのではなく、多様な意見や主張がそれぞれ尊重され、お互いに対立しないように調整される。
  • 一つの方針を打ち立てて「民」を率いる「リーダー」はもはや存在せず、多様な意見や主張を調整する「コーディネーター」が重要な役割を果たす。
  • 「税」の本質は「小男による収穫物の横取り」なので、これは廃止される。「民」は自分が受けた公共サービスに対して、適正な代金を支払う。
  • さまざまな理由で代金を払うのが困難な人には、代金の免除などの措置が講じられる。
  • 「国に代わるもの」の範囲は、かならずしも地理的な区域と一致しない。
  • 複数の「国に代わるもの」の間で意見の食い違いが生じた場合にも、話し合いによって調整され、戦争のない世界が実現する。
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