【雑感】パラダイムシフトの予感

コンパクトディスク(CD)の量産が始まったのはちょうど私が社会人になった1982年で、それまで音楽の媒体はレコードでした。中学1年生のときに初めてLPレコードを買ったときの感動は、いまだに忘れられません。ところが、CDが普及し始めると、あっという間に街の「レコード屋さん」からコレードは姿を消しました。私はこの変化に乗り遅れ、冬のボーナスでYAMAHA GT-2000というとてつもないターンテーブルを買ってしまい、時代の変化の速さを身をもって実感しました。

そのCDが近い将来、街の「CD屋さん」から姿を消すのではないかという予感がします。それどころか、楽曲は一人ひとりが所有するものだいう従来の概念が一気に崩れ去るのかもしれません。楽曲はどこかクラウド上のサーバーにあって、聴きたい人は月額数百円の料金を払ったうえで、そのサーバーにアクセスして聴けばいいのです。いわゆる「所有から利用」へのパラダイムシフトが一気に起きる日が近いと感じています。現在、各レーベルはいまだにCDを売ることにこだわっているような気がしますが、早めにこのような変化への対応を考えたほうがいいでしょう。

さて、これから先は空想の世界ですが……

誰かとても影響力のある大物アーティストが、「自分は金儲けのために曲を作っているのではない」と言って、自分のサイトで自分の楽曲を無料で配信し始めたとします。「実はおれもそうなんだ」「私もそうよ」と、雪崩のように多くのアーティストがこれに続くことが絶対に起こらないとは限りません。

上梓する作品がみんなベストセラーになるような人気作家が「今後発表する自分の小説は自分のサイトに置いておくので、誰でも好きなときにダウンロードして読んでくれ」と宣言したとします。小説の中身を改変されたら困るので、たぶんPDFのような編集できないファイル形式で提供されるのでしょう。そして、多くの作家がこれに続くかもしれません。

かくして、芸術は商業主義の呪縛から解放されるのです。

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