「写真とは何か」 第4話 「意味」よりも先にやってくるもの

写真4

 写真によって写し出された世界は、元の世界の写像であると同時に、さらなる可能性を秘めた「新しい世界」である。

 第3話で述べたとおり、人間の脳は2次元に変換された像から元の被写体を思い起こすことができる。つまり画像が担っている「意味」を解釈することができるのである。この「意味」は、ある場合には、歴史的・政治的背景や個人の生い立ちにまで及ぶことがある。

 写真を見て「……がきれい」「……がかっこいい」と思う場合、我々は知らず知らずのうちに頭の中に固定された被写体に対するイメージに照らして、そう感じている場合が多い。極端な場合には、人々にすでにある一定の固定観念を呼び起こさせることが目的のような写真もある。

 しかし、このような「意味」が脳によって解釈されるよりも先に、もっと直接的な感覚が引き起こされることがある。それは反射的であるがゆえ に、「意味」よりも先にやってくる。写真を見た瞬間の雷に打たれたようなインパクト、これこそが「新しい世界」に触れた瞬間の生の感覚なのである。このような感覚を生み出す写真(それを作品と呼ぶ)をたくさん撮りたいと日ごろから思う。

 微視的に見れば、写真は細かな粒子の集まりであり、それ以上の何物でもない。この不連続な集合体が、人に新しいインパクトを与える(続いてなんらかの「意味」も与える)。「創発」とも呼ぶべき不思議な現象である。次号では、写真を撮ることは果たして芸術的行為と言えるのかどうかについて考えてみた い。

2013-10-20|タグ:
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