「うつ病」とは

 「うつ病」は「心の風邪」とも言われていて、誰もがかかる可能性のある病気です。けっして特別な病気ではありません。しかし、「うつ病」に罹った本人にとっては、「風邪」どころか「肺炎」以上の苦しみがあります。

「うつ病」の症状

 「うつ病」になると、気持ちがひどく落ち込んで何事に対してもやる気がおきない状態が数週間も続きます。仕事や家事や、あらゆることが億劫になり、それまで楽しかった趣味などにも関心がなくなります。人と会いたくなくなるのも「うつ病」の特徴です。仕事上の大切な判断もなかなかできなくなります。食欲がなくなり、無理をして食べても砂を噛んでいるようで美味しく感じません。
 そして、「うつ病」の人の体力をひどく奪ってしまうのが、早朝覚醒です。早朝の2時や3時に目が覚めて、それから朝まで眠ることができません。起き上がって何かをすることもできず、布団のなかでただじっとしているだけのことが多いです。その間にも、「自分は大丈夫なのだろうか」といった心配と孤独感がつきまといます。極端な場合、昼夜逆転してしまうこともあります。
 「うつ病」の症状は一日のうちでも変化(日中変動)があります。朝がいちばん落ち込んでしまいますが、夕方になるとだんだん元気が戻ってきます。
 「うつ病」はずっと古く古代からあったとされていますが、現代になって急増してきたのは、多くの人がさまざまなストレスにさらされるようになったからだと言われています。

参考のために「ベックのうつ病調査表(BDI=Beck Depression Inventory)」を載せました。自己診断してみてください。

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「うつ病」と自殺

 現在、年間の自殺者は3万人を超えているそうです。そのなかの相当な割合が「うつ病」の患者だと言われています。「うつ病」の人の希死念慮を細かく綴った日記がここにあります。「うつ病」は、最悪の場合「死に至る病」なのです。でも、「うつ病」のために自殺してしまうのは、ほんとうにもったいないことです。なぜなら、それは本人の意志ではなく、病気がそうさせているからです。だから、治療がうまくいって、「うつ病」の症状が改善してくると、死にたいという気持ちも忘れたように去っていきます。自殺未遂を起こした人が、数ヵ月後にはインターネット通販のサイトを立ち上げて商売を始めたというような話もあるくらいです。だから、消えてしまいたいと思っても、絶対に自殺してはいけません!

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「うつ病」が起きるメカニズム

 「うつ病」が起きる原因はまだよく分かっていませんが、モノアミン仮説というのが有力です。この仮説によると、脳内にセロトニンとノルアドレナリンという2種類の神経伝達物質(モノアミン)が不足していることが原因だと言われています。
 脳内でクールな覚醒の状態を演出するのがセロトニン神経と言われる神経です。セロトニン神経の中核は脳幹の縫線核という部位で、そこから軸索が脳のいたるところに伸びています。軸索の末端からは神経伝達物質が放出され、次の神経に情報を送ります。この神経伝達物質がセロトニンです。一方、ホットな覚醒の状態を演出するのがノルアドレナリン神経です。ノルアドレナリン神経の中核は脳幹の青斑核という部位で、ここからも無数の軸索が脳内に伸びています。この軸索の末端から放出される神経伝達物質がノルアドレナリンです。
 放出されたセロトニンやノルアドレナリンのうちで余分となった分は受容体から神経細胞内に取り込まれ、再利用されます。つまり、神経細胞間に遊離しているモノアミンの量を一定にしておく機能が備わっているのです。
 ところが「うつ病」の人の脳では、神経細胞間のセロトニンとノルアドレナリンの量が減ってしまい、神経細胞から次の神経細胞に刺激・情報を伝えられなくなって気分障害が起きると言われています。シナプス

図の出典

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「うつ病」の治療

 「うつ病」にとって最良の治療法は休息をとることです。ある程度まとまった休暇を取って仕事のことをまったく忘れて過ごすのが一番の治療法です。事情が許せば、医師に診断書を書いてもらって会社に提出し、最低3ヵ月は仕事を休んで休養を取ることをお勧めします。その場合、自分にあと何日有給休暇が残っているのか、有給休暇を使い切った後でも休める制度が会社にあるのかをあらかじめ確認しておいたほうがいいです。
 「うつ病」の治療薬(=抗うつ剤)は、最近ではSSRI(選択的セロトニン再取り組み阻害剤)・SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り組み阻害薬)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤)などの副作用の少ない抗うつ剤が主流になってきています(従来の抗うつ剤には抗コリン作用という副作用がありました)。
 あとは、医師やカウンセラーに自分の悩みをよく聞いてもらうことが治療につながります。誰でも、考えていることを口に出してしまえば、肩の荷がおりたような感じになるものです。
 さらに注目されているのが、「認知療法」です。認知療法では、考え方や物事の捉え方の歪みがうつ病を引き起こしていると考え、その歪みを治そうとします。抗うつ剤だけに頼る治療よりも、抗うつ剤と認知療法を組み合わせた治療のほうが大きな効果が期待できると言われています。

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どんな病院に行けばいいのか

 それではどんな病院に行けばいいのでしょうか。「うつ病」の治療を行っているのは、精神神経科や心療内科です。精神神経科などというと「敷居が高い」と感じるかもしれませんが、行ってみるとごく普通の病院です。
 病院を選ぶ場合、予約制をとっている病院のほうが待ち時間が少なくていいと思います。長く待たされると、それだけでストレスが貯まってしまいます。担当の医師との相性は大きな問題です。できるだけ医師と親しくなって、なんでも話せるような関係になることが大切です。ただ、「どうしてもこの医師とは合わない」とうい場合以外は、コロコロと病院を変えないほうがいいでしょう。障害者自立支援法も、一か所の病院にかかることを前提としています。これは、 病院検索のページへのリンクです。近くの病院を探して、まず行ってみることをお勧めします。

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