フォト・エッセイ・3

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第13話 点滴

点滴

 小学生の時に右手を骨折して以来、約30年ぶりの入院生活だった。起き上がって歩くこともできるのだが、あまり病院内を歩き回らずに、ベッドに横になって点滴を受けながら約2週間過ごした。病室に持ち込んだのは、ノート型パソコンとNikon35Ti。病棟のロビーにあるグレーの公衆電話からインターネットに接続できるので、ネット仲間と音信不通になる心配はなかった。そして、ときどき窓の外の風景を撮っていた。

 普段写真を撮る時にはいろいろな場所を歩き回って被写体を探すわけだが、同じ風景をこんなにじっくりと撮り続けたのは初めてだった。自分が忙しく動き回らなくても、景色は刻々と変わっていく。ほかにも気づいたことが多い。ゆっくりとよく噛んで食べると、おかゆの味もよく分かった。

 多い日は一日4本の点滴を受けた。1本500ccの点滴液が落ちきるのに3時間以上かかるので、4本目の点滴が終わるのは深夜になることもあった。そして点滴にかぎらず、さまざまな薬や検査のスケジュールがきちんと管理されていて、自分の健康が多くの人に支えられていることを実感した。

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